NTT株はなぜ下がる?2026年5月決算を踏まえた株価低迷の理由と今後の見通し
増収増益・連続増配にもかかわらずNTT株が下落している理由を解説。2026年5月決算の数字を読み解きながら、長期保有・配当投資としての評価をまとめます。
はじめに
NTT(9432)が2026年5月に発表した2025年度決算は、増収増益・増配という一見すると好調な内容でした。
一方で、
- 「思ったより株価が反応しない」
- 「来期は減益予想だけど大丈夫?」
- 「配当株として持ち続けていいの?」
と、不安や疑問を感じている投資家も多いと思います。
特にNTTは、 “高配当株の定番”として保有している人も多い銘柄です。
だからこそ今回の決算では、
- 売上は伸びているのか
- 利益の質はどうか
- EPSは成長しているか
- 配当は今後も伸びそうか
- 長期保有に向いているか
このあたりを丁寧に確認することが大切です。
この記事では、2026年5月決算の内容を、過去推移とも比較しながらわかりやすく整理していきます。
NTTの2026年5月決算サマリー
まずは今回の決算を簡単に整理します。
| 項目 | 2026/03実績 | 前年比 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 14.4兆円 | +5.1% |
| 営業利益 | 1.71兆円 | +3.4% |
| 純利益 | 1.04兆円 | +3.7% |
| EPS | 12.61円 | +5.4% |
| 年間配当 | 5.3円 | +0.1円 |
| 来期予想配当 | 5.4円 | +0.1円 |
数字だけを見ると、かなり安定感があります。
特に注目したいのは、
- 売上成長が継続していること
- EPSが過去最高圏にあること
- 15期以上続く増配傾向
です。
通信株は「成熟産業」と見られやすいですが、NTTは現在、
- データセンター
- AIインフラ
- 法人DX
- グローバルITサービス
などへ事業の軸を広げています。
その成果が、今回の決算にも少しずつ表れ始めています。
今回の決算で特に強かったポイント
① グローバル・ソリューション事業が伸びている
今回の決算で最も目立ったのは、 NTTデータを中心としたグローバル事業の成長です。
特に、
- 海外ITサービス
- データセンター
- クラウド関連
が伸びています。
従来のNTTは、
「国内通信会社」
という印象が強い企業でした。
しかし現在は、世界規模でITインフラを提供する企業へ変化しています。
これは長期投資目線ではかなり重要です。
なぜなら、日本国内の通信市場だけでは、今後大きな成長が難しいからです。
スマホ契約数は成熟し、 通信料金競争も激しくなっています。
だからこそNTTは、
- 海外
- 法人
- AI
- データセンター
へ成長軸を移しています。
今回の決算は、その方向性が数字として見え始めた決算とも言えそうです。
② EPSは過去最高圏
NTTのEPS推移を見ると、長期ではかなりきれいな右肩上がりです。
| 年度 | EPS |
|---|---|
| 2021/03 | 9.93円 |
| 2022/03 | 13.17円 |
| 2023/03 | 13.92円 |
| 2024/03 | 15.09円 |
| 2025/03 | 11.96円 |
| 2026/03 | 12.61円 |
2025年はやや落ち込みましたが、2026年は回復。
長期視点では、利益成長トレンドはまだ崩れていません。
高配当株投資では、
「配当利回り」
だけでなく、
「EPSが成長しているか」
がかなり重要です。
なぜなら、EPS成長が止まると、 将来的に増配も止まりやすいからです。
NTTは現在もEPS成長力を維持している点が、強みと言えます。
③ 2027年予想は”減益”
一方で、気になる点もあります。
会社予想では、
| 項目 | 2027/03予想 |
|---|---|
| 売上 | 15.1兆円 |
| 営業利益 | 1.71兆円 |
| 純利益 | 9800億円 |
| EPS | 12.04円 |
となっており、純利益は減益予想です。
これが市場でやや警戒されたポイントだと思われます。
ただし注意したいのは、
「大幅減益」ではない
ということ。
NTTほどの巨大企業になると、
- 投資負担
- 買収
- 減価償却
- 金利
などの影響で、単年では利益がブレることがあります。
そのため、
“来期だけ切り取って悲観しすぎない”
ことも大切です。
財務はどう見るべき?
総資産・負債が急増している理由
今回の決算で驚きやすいのがここです。
| 項目 | 2025/03 | 2026/03 |
|---|---|---|
| 総資産 | 30.1兆円 | 46.7兆円 |
| 有利子負債 | 11.2兆円 | 16.9兆円 |
| 自己資本比率 | 34.0% | 20.8% |
かなり大きく変化しています。
ただ、これは単純な業績悪化というより、
- 住信SBIネット銀行の連結子会社化
- NTTデータ完全子会社化
の影響が大きいです。
つまり、
「事業拡大のためにバランスシートが巨大化した」
という側面があります。
それでも注意したい点
とはいえ、
- 自己資本比率20.8%
- 有利子負債16.9兆円
は、かなり重たい数字でもあります。
通信事業は設備投資が大きく、 もともと負債を活用しやすい業界です。
ただ、今後もし金利上昇が続けば、
- 支払利息増加
- 財務負担増加
は意識されやすくなります。
ここは今後の決算でも継続チェックしたいポイントです。
キャッシュフローはやや気になる
今回少し気になったのは営業CFです。
| 年度 | 営業CF |
|---|---|
| 2024/03 | 2.37兆円 |
| 2025/03 | 2.36兆円 |
| 2026/03 | 1.49兆円 |
かなり減少しています。
営業CFマージンも、
17.25% → 10.31%
まで低下しました。
NTTは設備投資負担も大きいため、
- 営業CF
- フリーCF
の推移はかなり重要です。
ただし、単年度だけで即危険とは言い切れません。
大型投資・M&Aの影響もあるため、
「数年単位でどう推移するか」
を見る必要があります。
増配は続いている。ここは強い
NTTの魅力はやはり連続増配傾向です。
| 年度 | 配当 |
|---|---|
| 2020/03 | 3.8円 |
| 2021/03 | 4.2円 |
| 2022/03 | 4.6円 |
| 2023/03 | 4.8円 |
| 2024/03 | 5.1円 |
| 2025/03 | 5.2円 |
| 2026/03 | 5.3円 |
| 2027/03予 | 5.4円 |
派手ではありません。
ですが、
“毎年少しずつ増配する”
というのは、高配当株投資では非常に大きな強みです。
特にNTTは、
- 景気敏感株ではない
- 通信インフラ需要が安定
- 配当性向も極端ではない
ため、配当の安定感があります。
現在の配当利回りは約3.5%。
超高配当ではありませんが、
- 安定性
- 増配継続性
- 倒産リスクの低さ
まで含めると、配当株としての魅力は依然高いと感じます。
PER・PBRから見たNTT株
2026年5月時点では、
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| PER | 約12.7倍 |
| PBR | 約1.28倍 |
となっています。
過去推移を見ると、
- PER:10〜12倍前後
- PBR:1倍前後
がNTTの標準レンジでした。
つまり現在は、
“やや評価が戻ってきた状態”
とも言えます。
ただし、AI・データセンター期待が続けば、 市場評価が以前より高めで定着する可能性もあります。
NTT株は今後どう見るべきか
今回の決算をまとめると、
良かった点
- 増収増益
- EPS回復
- 増配継続
- グローバル事業成長
- AI・データセンター期待
気になる点
- 来期減益予想
- 営業CF低下
- 有利子負債増加
- 自己資本比率低下
という形です。
短期では、 「爆発的に成長する株」 ではないかもしれません。
ただ、
- 安定した通信インフラ
- 連続増配
- 巨大キャッシュ創出力
- AI時代のインフラ需要
を考えると、
“長期でじっくり持つ高配当株”
としての魅力は、まだ十分あるように感じます。
まとめ
NTTの2026年5月決算は、
「安定感はあるが、財務負担も増えている決算」
でした。
特に今後は、
- EPS成長が続くか
- データセンター投資が利益につながるか
- 営業CFが回復するか
が重要になりそうです。
一方で、
- 増配継続
- 高い事業安定性
- AIインフラ需要
は、長期投資家にとって大きな安心材料です。
NTT株は、
“短期で大きく値上がりする銘柄”
というより、
“時間を味方につけて配当を積み上げる銘柄”
として見ると、かなり魅力的な存在だと感じます。
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